Share

金融円滑化法(モラトリアム法)の1年延長が決まりました。

政府は、中小企業の経営環境は依然として厳しいと判断したようです。

モラトリアム法の世間一般的なイメージは「苦しんでいる中小企業の資金繰りを支援し、経営状況を回復するための法律」いわゆる中小企業のための法律であると思われています。実際に倒産も前年に比べ減っていて一定の効果があったと思います。

現状を見ると返済猶予をお願いした企業のほとんどが認められており、銀行関係者からは「経営者のモラルハザードの懸念がある」などと言われています。

しかし、実情はちょっと違うように感じます。ご相談に来る中小企業の経営者は、「銀行への返済をストップする=もう融資はしてもらえない」と考え、モラトリアム法を使うかどうか悩んで二の足を踏んでいる方が多くいらっしゃいます。

しかし、実際にこの法律は、銀行の運営に大きく影響する貸出先の格付け方法を見直すことにより、中小企業の経営者ではなく、「銀行のモラルハザード」を引き起こしてしまっています。

どういうことかというと例えば、格付けで「破綻懸念先」となっている企業への貸付金額の70%は貸倒引当金としなければならないため、その分銀行の利益を圧迫します。

でも、この法案では、本当ならば「破綻懸念先」にあたるような企業をより上位のリスクの少ない融資先と見なせるため、引当金を積み増さなくても良くなります。

このような「からくり」があるため、銀行にも十分メリットがある法律であった為、銀行が積極的にモラトリアム法への応募をさせているということが考えられます。

もし、このモラトリアム法が解除され、破綻リスクに見合ったランクに再評価し、それ相応の引当金を積むとなったら、地方の金融機関では、破綻に追い込まれるところも出てくるでしょう。

モラトリアム法は、この猶予期間に中小企業が経営改善を行うように叫ばれていますが、銀行も同じくこの法律があるうちに経営改善をしなければならないのです。

中小企業だけではなく、銀行の状況を考えたら、恐ろしい!ということもあり表向きは、中小企業のために延期をしたような発表ですが、銀行のため、はたまた政府・国のために延期をしたということが実情ではないでしょうか?